整備書では4WDはエンジンごと取り外すことになっていますが、F/T 4WDではミッションのみの取り外しもやってやれなくは無いみたいです(S/T 4WDの場合はどうか謎)。キモはエンジンの裏側とミッションのトランスファ部分を繋ぐ金具がはずせるか否かと思います。
バッテリーの端子をはずし、車体をジャッキアップして、ジャッキスタンドにかける。これは、フロントクロスメンバの中央部と、リアデファレンシャルの中央部にフロアジャッキを当てて持ち上げ、サイドシルのジャッキアップポイント4箇所にジャッキスタンドを当てるようにするとよい。作業中にジャッキスタンドがバランスを崩した時の対策として、車体の下にタイヤ等を入れておく。バッテリーの端子をはずすのは、作業が長引いた時にバッテリが上がるのを防ぐのと、短絡防止と、作業中に不意にスタータが廻って、恐ろしい事になるのを防ぐため。
タイヤをはずし、ミッションのギアオイルを抜き、プロペラシャフトをはずす。プロペラシャフトは、リアデファレンシャルとの結合ボルトをはずしてから、センタベアリングを車体からはずし、あとはどうにかすると簡単にはずれる。
トランスバースリンクとハブハウジングとの結合をはずし、ドライブシャフトをトランスミッションから抜く。
センタエキゾーストパイプとリアエキゾーストパイプを分離し、フロントクロスメンバをはずす。センタエキゾーストパイプはエキマニ側から外さなくても、なんとかなる。クロスメンバは、トランスバースリンクとフロントスタビライザとの結合をはずし、トラバンごとはずす。クロスメンバは、中央をジャッキで支えた状態で車体との結合ボルトをはずし、その後、ジャッキをそっと緩めるようにすると、一人でも簡単にはずせる。その際、エキゾーストパイプの上にモロに落として、エキゾーストパイプを壊さないように注意する。フロントスタビライザもはずす。
エンジンとミッションにジャッキを当てる、エンジン側は、正面からフロアジャッキを入れ、オイルパンに木片等を介して当てる。ミッション側は、運転席から見て左側からフロアジャッキを入れ、ミッションのメーンケースとクラッチハウジングの結合部分の下部の中心辺りに当てる。直接当てると多少傷つくが、あけび猫の場合は、対策するのが面倒なので、直接当てている。あけび猫が使ってるジャッキには、作業が長引くと勝手に下がってくるものがあるので、あけび猫の場合、オイルパンの下にジャッキと共に、ゆかづかを入れている。
クラッチケーブル、インタークーラ、ピッチングストッパ(エンジンルーム奥の壁の中央の上辺りからエンジンを吊ってるような部品)、スピードメータケーブル、ギアシフトロッド結合ボルト、バックランプ配線用コネクタとそれが止めてある金具、アースコード等、ミッションをはずすのに邪魔になりそうなものをはずす。この時、エンジンの裏側にエンジンとミッションのトランスファ部分を繋ぐ金具があるので、これもはずす。この金具のミッション側のボルトが固くてはずれない時には、ピッチングストッパとスピードメータケーブルをはずした後、エンジンルームの上部より、なんとかしてインパクトレンチを入れてはずす。スピードメータケーブルとトランスミッションを結合させているネジは樹脂製なので、スパナで軽く廻すとはずれる。これは取り付ける際には感覚がよく分からなくてなめる可能性があるので、元々どの程度ミッションに食い込んでいたかを覚えておくとよい。
運転席から見て左側のドライブシャフトをエンジンルームの外に引っ張り出して紐でつるし、エンジンとミッションとの結合ボルトと、トランスミッションマウントをはずしてから、ミッションをエンジンから引き抜く。トランスミッションマウントは、車体前方の3本のボルトの他、ミッションのサイドカバーの上部の辺りでL字型の金具と2本のボルトで止まっているので、その金具とボルトもはずす。ミッションが抜けない時には、ジャッキを調節してみたり、結合部分の隙間からマイナスドライバを入れて軽くこじてみたり、どこか引っかかってないか確認してみたりする。抜けたら、ジャッキを色々調整したりして、なんとかすれば、ミッションを降ろすことができる。この際、運転席から見て右側のエンジンマウントをはずす必要は無い。降りたミッションは、一人でも少しの間ならなんとか持てる重さなので、なんとかすれば、エンジンルームの下より引っ張り出せる。持てるといっても、いびつな形で、それなりの重さなので、不意に持ち上げて腰を痛めないように注意する。スタータはエンジンとミッションとの結合ボルトを全部はずすと必然的にはずれる。
取り付ける時には、ミッションを持ち上げてエンジンルームの下に入れるのは困難なので、引きずってエンジンルームの下に入れる。先ず運転席から見てエンジンルームの左側の床にダンボールを敷き、その上にミッションを乗せ、ダンボールごと抱えて、押したりしてエンジンルームの下に入れる。こうするとミッションが床によって削れることが無い。
運転席から見て左側からフロアジャッキを入れ、エンジンルームの下に置いたミッションをジャッキの上に乗せる。乗せるには、ミッションをジャッキ側に傾けて、ミッションの下にできた隙間に角材を入れ、それから角材側にミッションを傾け、ミッションの下にできた隙間にジャッキを入れるというような感じで色々工夫すれば何とかなる。
ジャッキでミッションを持ち上げ、クラッチの中心穴とミッションのインプットシャフトが合うと思われる位置に調節し、エンジンとミッションとを結合させる。インプットシャフトの先端はけっこう尖っているので、大体、位置が合えば、なんとかしているうちに結合する。最初は、クラッチの穴にインプットシャフトが水平に入りさえすれば、ミッションの角度がシャフトの回転方向に少々ずれていてもよい。角度がずれて入った場合には、ジャッキを緩めつつミッションをエンジンに軽く押し付けつつ、結合ボルトの穴の位置を合わせれば完全に結合する。あけび猫の場合、クラッチディスクの装着はクラッチディスクガイドを使わず目分量で行ったが、それでも問題なく結合した。ミッションがなかなか結合しない場合には、運転席から見て右側のドライブシャフトが邪魔になっている可能性があるので、その場合にはそのドライブシャフトを邪魔にならない位置(多分、エキゾーストパイプの下だったけ。。)に動かすとよい。
エンジンとミッションとの結合ボルトと、トランスミッションマウントを取り付けてから、エンジンとミッションのトランスファ部分を繋ぐ金具を取り付ける。それから、ギアシフトロッド結合ボルトを取り付ける。ギアシフトロッド結合ボルトはミッションの傾き加減が正しくないと取り付けられないので、ジャッキでミッションの角度を調節する。
フロントクロスメンバを取り付ける。これは、車体との結合ボルトを一箇所軽く仮止めしておいてから、ミッションとクロスメンバとの結合ナットを取り付け、それから残りの結合ボルトを取り付けるようにするとよい。うまく付かない場合には、ジャッキでミッションの角度を調節する。
後は、残りの部品を色々と組み付け、ミッションにギアオイルを入れ、タイヤを付けて、車体をジャッキスタンドから降ろし、動作を確認して完了。途中、外に引っ張り出したりしたり、エキゾーストパイプの下に動かしたりしたドライブシャフトが中に入らないことに気が付いた時には、タイロットエンドをはずしてなんとかすれば入る。タイロットエンドはギアプーラではずすことができる。タイロットエンドのナットをしめる際に空回りしてしまらない場合には、タイロットエンドとハブハウジングが接する部分をブレーキパーツクリーナーで洗浄するとよい。ギアオイルは抜く時に容器に取っておき、入れる時にはその上澄みを入れ、減った分を補充すれば安上がりに済む。ギアオイルは少々減った位では動作に問題無いと思うので、次の交換時期まで補充せずにほおっておくという手もアリかも。。